サウスケント紀行その4 

NYへのJAL機内は快適だったし出発前は寝ていなかったので爆睡出来る材料はそろっていたのだが結局眠れなかった。NYは夜から雨。ニュースによればニュージャージーの方は雪が降っている。ならばサウスケントも雪だろう。第3期生は雪次郎。

マンハッタンに一泊し、昼過ぎにNYを出ておよそ2時間後にコネチカット州ケント到着。10cmほどの積雪。毎度おなじみスターバックインにチェックイン。オーナーのピーターさんともすっかり顔なじみになった。ラブラドールのマディソンは今年天国へと帰ったそうだ。朝食のとき人懐っこく足元に寝そべっていた姿を思い出す。合掌。

今回時差がやたらときつい。夜全然眠れないしそのため昼間は眠い。一日中首から上に霞がかかっているような感じだ。こんなに時差を感じるのは初めてだ。年か?

サウスケントスクールにて彼らのホームゲームを2試合観戦。SD奨学金2期生の谷口大智君、早川ジミー君のふたりに会うのは壮行会以来だから1年ぶりか。成長しただろうか。英語は上達していると聞いている。チームになじんでいるだろうか。二人ともプレイ時間をもらえると良いが。何にせよ楽しみだ。

3期生の矢代雪次郎君と一緒に観戦することになっている。今回の訪問と観戦が彼に何をもたらすかも楽しみだ。

2期生コンビはとてもチームになじんでいるように見えた。日常の簡単な会話にはもはや不自由していないようだし、チームメイトとふざけあったり小突きあったりしている。行く前から2期生二人のフレンドリーな性格は感じていたので予想はしていたが、こういう姿を見るとやはりホッとする。人見知りの42才とは違うなあ。彼らの人柄の良さを表すように、とりわけ先生の子供たちになつかれていた。今回は一人でなく二人だということもここで過ごす上で助けになっているのかも知れない。また、先に来ていた留学生のショウスケ君やヨシ君が勉強や日常生活の点で大いに助けてくれている。みなさんに感謝します。ありがとう。

2つのゲームではダイチは4番でスターターで出場、ジミーはベンチからのスタートだった。

このチームはビッグマンが少なく、ダイチが果たさねばならない役割は小さくないように見える。スターターを勝ち取ったのは立派。とはいえ課題もすでに浮かび上がっている。ピックアンドロールからオープンショットを決める機会を増やすことや、身体の当たりの激しいインサイドでもっともっと強くなることを、コーチも本人も求めているに違いない。どん欲に上を目指してもらいたし。

日本とアメリカでの状況の変化という意味では、ジミーのそれはダイチよりも大きいかも知れない。ジミーのサイズはチーム全体では小さい方から4番め(12人中)で、ポジションは2番、相手によっては3番もあるのかも。いずれにせよ選手の層は厚い(アメリカのどこでもおそらくこのポジションは最激戦区である)。日本では4番をやっていたため、彼にはまずポジションの変更というチャレンジがあった。その上で、熾烈な競争の中で存在感を示さなくてはならない。3番の子はこのチームのエース、6‘6“(198cm)のJJムーアで、すでにピッツバーグ大への進学が決まっている、将来NBA入りも期待される選手。我々の観た試合ではヤバいアリウープを2本連続で決めていた。

満足なプレイ時間を思うようにもらえない状況で、どうしたら良いかを模索中の現状といったところ。ディフェンダーとしての能力、身体を張る姿勢、パワー、シュート力など十分認められている部分はある。コーチに試合で使いたいと思ってもらうために、自分のために、チームのためにやれることはまだまだあるはずだ。必ずチャンスは訪れる。その時を逃さないよう、今を大切にがんばってほしい。

上達中の英語、文化の相違、限られた時間。授業やテストもまた大きなチャレンジ。今の客観的現実を、自分の感情や思考でゆがめることなく見極め、ありのままに受け入れて、その上で今やれること、目の前のディテールに集中すること。そこから道は開けていくのではないか。

彼らならそれが出来ると、今回数日間ではあるが見ていてそう思った。神様はその人に乗り越えられない試練は与えないと、確か「リアル」という良い漫画にも書いてあったし。

ゲームは2試合ともサウスケントスクールが危なげなくものにした。全米5位にランクされるプレップスクールで日々鍛えられている二人。どれだけ実感しているかは分からないが、自分で思う以上に、日々成長しているはずだ。

今目の前の瞬間をどう過ごすかが、二人の将来を決めていく。

その姿が、あとに続く者に道を示していく。三期生の矢代君の目は始終輝いていた。

 
井上雄彦 
12/12/2009