サウスケント紀行その3 〜第2期候補生奮闘すの巻〜


スラムダンク奨学金の第2期生候補者の最終審査のため、それとともに第1期生の並里成の様子を見に、またまたコネチカット州サウスケントへ行ってきました。実はヘッドコーチが変わり、新ヘッドコーチと話をするのも大きな目的の1つ。

今回はLA在住のライター宮地陽子さんともNYで合流。アメリカのバスケ事情にめちゃくちゃ詳しくてらっしゃるので、とても心強い。彼女には奨学金立ち上げの前から、何かにつけて助けてもらっています。感謝です。

・・で、現地から日々更新するつもりだったんですが、今回、空き時間にはBRUTUSという雑誌のインタビューと撮影が入っており、また夜には持っていった別の仕事があって書く気力が残っておらず、今帰りの飛行機の中で書いているところです。

成は元気にがんばっていました。まだ英語ができないのでその点ではなかなか苦労している様子がうかがえるものの、バスケの方は充実しているとのこと。実際シュートフォームが改善されて成功率が上がり距離も広がっていたり、ドリブルが強くなっていたりしていて、僕も何だか嬉しくて新シュートフォームを教えてもらいました。新コーチに1対1で指導してもらえることで、新たな発見や、課題が見つかったりもしているようです。

課題と言えば、勉強は大きな課題といえるでしょう。ここへ来た以上目標はディビジョン1の大学から奨学金をもらって進学すること。そのためには学業成績は絶対に無視できないことです。どれだけバスケットが優秀だったとしても、一定以上の学業成績がないと大学でプレイすることはできません。これは間違いないことです。それ以前に英語ができないことはあらゆる場面で可能性が制限されるということなので、自分のバスケットのために、一日一日を頑張ってほしい。次回会うときにはまた進歩した姿を見せてもらえるように、期待してます。

高校生、中学生でアメリカの大学へ行きたいと思っている選手がいたら、今の勉強をないがしろにしてはいけないよ。大学でのテストの点数だけでなく、(日本の高校を卒業する場合)日本での中3〜高3の成績も合わせて、その両方で判断されるのです。バスケだけやってたら夢がかなうならいいだろうけど、現実にはそうではないのです。バスケの才能がすごくて大学からリクルートされていたのに成績が伴わず、結局大学側が断念するというケースもあります。その辺のことを今回、我々も少し詳しく勉強することが出来たので良かったです。

さて、今回の候補生は二人が最終審査に進みました。二人だからか、すでに成がいる心強さか終始リラックスしたムードに見えました。到着した日の夕食で、二人ともアメリカのハンバーガー(ファーストフードチェーンでなく普通のレストラン)を二皿平らげたのには驚いた。結構デカイっすよ・・。

初日は2チームに分けて、スクリメージを延々繰り返しながら毎回マッチアップを変えたりしながら、そこで二人が何ができるのかを見ている様子。結構長かったので最後はへばったんじゃないかな。こっちのガタイのいい連中とやるのは、普段よりも疲れるだろうし。爪のとこから出血したり、こめかみの辺りを腫らしていたりと、終わったときにはかなりの激戦だったことが伺えました。そんな中でこっちでもできること、できないことがある程度明らかになったと思う。二人とも、それぞれに光る部分を見せてくれたので、その点は良かったと思う。私見では、こちらのもろもろのことに慣れ、もっと積極性が出てくれば十分やれるハズと思う。

二日めは成も含めた3人で、ドリル的なことをやらされた。彼はなかばお手本役といったところ。ボールを2個使ったハンドリングのドリルなど、日本ではやったことないだろうものには苦戦していた。ボールハンドリングに秀でた成ですら、最初はできなかったという。逆にこういったことを教えてもらえるので確実に進化できるのはうれしいことだろう。

二人も少しずつできそうになっていったが、やはり簡単ではない。だがここではそんなトライする姿勢を見ているのだろう。できるかできないかだけではなく、できないことに何くそと食らいつけるか、逃げずにトライできるか、それは選手として何より大事なことだから。

新コーチのジェファーソンさんはとてもフレンドリーで、またこっちが恐縮するくらいいろいろと気を使ってくれる人だった。前述のドリルのように、具体的なスキルを教えてもらえることもとてもいい。大学でアシスタントコーチを長くやっていたため、選手を大学に行かせることを、かなり現実的に具体的に考えてくれそうだ。(コーチ・ジェファーソンのインタビューは今後の少年ジャンプとビジネスジャンプを要チェックで。)今回会って話をしたことで、この時期にコーチが変わっ
て感じていた不安は、打ち消すことができました。

最終審査を終え、発表は1週間後にもらうことになった。どうなるにしろ二人には、短期間ではあったがいい経験になったと思うし、何より今後、バスケで上を目指す以上放置するわけにはいかない課題も肌で感じたことだろう。反対に自分の持つ強みもわかったと思う。日本に帰ってどれだけ課題を克服できるか、強みを伸ばせるか、それによっておのずと己の道は開けてくることだろう。

もうひとつ、個人的な感想としては、二人のキャタクターが好対照で、見ていて面白かった。二人ともとても良かったよ。一年はあっという間。がんばるんだぞ。

 
井上雄彦 
04/28/2008