大分ヒートデビルズ

 


 
『アレン・アイバーソン自伝』
 
ネット限定発売中!
『オールドルーキー』
定価:2000円
 

 

『NBA雑学バイブル』
定価:933円
日本文化出版刊
   
 

ファッションのTPOを教えていなかった。

 いや〜、オリンピックというのは皆様、注目しているもんですね。
 バンクーバーに着いたところからいろいろと話題をメディアが提供するものですから一億総評論家になってしまったようです。

 その、槍玉に揚がったのがスノーボードの国母宏和(こくぼひろかず)選手。まず、ネクタイをゆるめていた、そして中のシャツをズボンの外に出して入国した、というのがだらしない、国を代表する人間があれでは…、と言うようなものが判断基準となってJOCやスキー連盟に講義のメールや電話が殺到したようです。
 でも、スキーの世界でもモーグルやスノーボードなどは新しい種目であり、それまでのトラディショナルな種目にあきたらない若者が面白がってやっていたものが、競技人口が増え認められてオリンピック種目になったものです。圧倒的にファッションもそれまでのスキーとは違っています。ストリート・ファッションがスキー場に出没して来たようなものと考えれば良いのです。ですからオールドスクール的な発想を持つ人にとっては「なんじゃ、あれは」と言うことになってしまうのでしょう。

 バスケの世界でもその昔ピチピチのパンツだったのが、マイケル・ジョーダンの登場で彼が大きめのパンツを好んで穿いたことにより、みんながぶかぶかのものになりました。NBAでさえも大きさの規制をしたほどでした。これも同じようなものですね。
 前回の“なんトラ”で書いた朝青龍関の場合は、外国人に日本の文化を伝える難しさを書いたわけです。しかし今回は日本人ですが、回りの皆が宇宙人だといっている若者に対してファッションのTPO(Time.時 Place.所 Occasion場合)の説明がなかったということなのでしょう。a sense of occasion(状況をわきまえた良識)と言う言葉もあるくらいです。きちんとやってよいことと駄目なことを事前に言っておけばあんな騒動にはならなかったのだと思います。

 彼だって21歳の立派な大人です。結婚もしているそうですし11歳からプロとして活動し世界を転戦しているのですから、話せば分かるはずです。
 指導する立場の人間の危機管理(リスク・マネージメント)度が低かったと思わざるを得ません。日本人なのだから言わなくとも分かっているだろう、なんてことは通用しないのです。
 しかし今回のこの騒動で国母選手もスノーボードの世界も良い勉強をしたのではないかと思います。こういう軋轢を経ながら新種目は注目されてきたり、内部の指導体制も固まってくるものだからなのです。
 帰国時の彼はきちんとズボンの中に入れて、タイもしっかりと締めてきました(なかなか可愛かった)。これからどのように成長するのかを注視して行きたいと思います。何はともあれ私にとっても気になる存在になってしまいましたからね。

 それでは次回の“なんトラ”まで、ごきげんよう。


 

 

 

 

 

 

 

   
   
 

 

 

 

 


ーーーーー島本和彦氏プロフィールーーーーー
1946年生まれ。東京都出身。1973年『月刊バスケットボール』(日本文化出版)の創刊に取り組み、1975年より同誌の編集長を務める。その後『HOOP』創刊にも立ち会い、NBAやNCAAのテレビ解説も行っている。また、日本におけるNBAファンクラブ(HOOP HYSTERIA)の会長を務める。